ドレスも髪型も、“その人らしさ”を引き出したい。
そう話すのは、長年ブライダル業界で活躍し、現在はモリノブライズでヘアメイクから着付けまでを一手に担うヘアメイクアーティストの米田です。
成人式はもちろん、七五三や卒業式など、ブライダル以外のセレモニーも幅広く担当しています。
ヘアメイクの奥深さや、お客様の「なりたい」に応える姿勢、そして写真には写らない大切な時間について伺いました。
コロナ禍を機に、フォトウェディングという新たなステージへ

―モリノブライズの【ふりそでもりの】に入社したきっかけを教えてください。
転職のきっかけは、コロナでした。
前職は年間700組を担当する式場だったので、延期の手続きだけでも大変でしたね。毎日電話が鳴りやまない状況でした。
そんな中、フォトウェディングという選択肢が少しずつ注目されるようになって。
現場からはそろそろ離れてもいいかなと思っていたタイミングでもあり、フォトウェディングという形への関心も少しずつ高まっていきました。
ちょうどその頃、モリノブライズから声をかけていただいて。以前インショップで関わっていたご縁もあり、自然な流れで転職を決めました。
髪を整えるだけではない、その人らしさを引き出す提案力

―接客で一番大切にしていることは何ですか?
私は、お客様が“自信”を持って未来に進んでいけるようにサポートしたいと考えています。
着物やドレスに袖を通した瞬間、ふとお客様が誇らしそうな表情をされることがあります。そんな小さな“自信の芽”のようなものを、そっと咲かせてあげたい。当日の笑顔が、これからの人生への一歩につながってほしいと思っています。
その上で、お客様とのコミュニケーションを大切にしています。ヘアメイクは技術職だと思われがちですけど、接客業なんですよ。
支度の時間は1時間半くらいあるので、たわいもないやりとりを通じて、緊張をほどいていくイメージです。
ヘアメイクって、お客様の肌に一番近い存在じゃないですか。
だからこそ自然体の表情を引き出せるよう、日々のコミュニケーションの積み重ねを大切にしています。
「似合わない」はない。パーツで寄り添う技術力

―お客様の希望スタイルに寄り添う際のポイントを教えてください。
お客様のご希望を丁寧にヒアリングしながら、特にこだわっているポイントを見極めて、「なりたい自分」に近づけるよう意識しています。
同じ髪型であっても、「この人、いい人だったな」と思っていただけた方が、仕上がりの印象も、写真に対する満足度も大きく変わると思うんです。だからこそ、ひとつひとつの工程を大切にしています。
もちろんコミュニケーションも大事ですが、それ以上に、撮影の空間そのものを楽しんでいただきたいという気持ちがあります。
「写真が良かった」っていうよりも「楽しかった」と言っていただけるのが一番大事だと思っています。写真を見返したときに、“あの日の空気感”ごとよみがえるような、そんな時間を作りたいですね。
外部ネットワークを活用した技術向上
―トレンドの情報収集はどのようにされていますか?
同業の友人が多く、食事をしながら情報交換をしたり、勉強会を開いたりすることもあります。
SNSも定期的にチェックしていますし、百貨店のコスメ売り場をまわって美容部員さんとお話しし、現場のリアルな声を聞くようにもしています。
社内では教える立場にいるため、どうしてもインプットの機会が限られてしまいがちです。だからこそ、意識的に外に出て情報を集めるようにしています。
まわりからは「大変そうだね」と言われることもありますが、私はもともと美容が大好きなので、まったく苦にはなりません。
「何世代にもわたる長いお付き合い」というやりがい

―働いていてやりがいを感じるのはどんな時ですか?
最も嬉しいのは、長期にわたってお客様との関係が続くことですね。
ブライダルから始まってお子様が生まれて七五三、成人式、そしてまたその子が結婚式を挙げる。何世代にもわたってお付き合いできる仕事って他にないと思うんです。
そのためスタジオは、“ただ写真を撮る場所”ではなく“また行きたくなる場所”になってほしいですね。